四方を山に囲まれた町民数2千数人の鍵田原郡戸蔭村で久しぶりに町長選挙が行われることになった。「市町村統合見送り」「公共事業への投資」「多額の借金」などにより辞任することになった町長の後任を決める選挙は、過疎化の進む村を良くしようと思う生真面目な深沢と、本当は陰の実力者でいたかった助役の平井の2人が出馬すること。しかし2人の候補者達は、個人の利権、仕事や親戚のしがらみ、人の噂話などに翻弄される。平井陣営は金に物言わせ、選挙事務所で連日ご馳走とお酒でもてなし、お金も権力もない深沢は自宅スーパーの裏の物置を急遽選挙事務所に仕立て上げ、地味な活動となった。果たしてこの選挙の行方は……。 物語はタイトルそのままに、田舎での選挙を舞台とした作品で、田舎ならではの選挙展開が一層物語を面白くさせています。選挙をテーマにした小説は他にもありますが、地方色を存分に出し、談合あり、買収ありと、選挙の裏側も面白く取り上げており、痛快さは勿論のこと、登場人物も個性的で、舞台の戸蔭村も魅力ある村として描かれています。